烟台留学体験談2

自分の生きる道を見つける留学1 _90円の新聞_ 大林さん近影

大林政彦

   
 高校生活も、残すところあと1ヶ月。東京への進学も無事決定し、約1年に及んだ受験生活の疲れをとる傍ら、新しい生活に期待を抱くという日々を送っていた。春からは憧れの大学生活を送る事ができる。しかし、心の中では、これとは矛盾する思いも起こっていた。

 昔から他人と同じ行動をすることを好まない性分、皆と同じように進学、しかも何となく選んだ経済学科に入学する事に心から喜べないでいたのだ。
「東京に行く事で、自分は本当の意味で大人になれるのだろうか?」
 この時、中学卒業時にも同じ事があったことを思い出した。高専受験に失敗して、仕方なく何となく普通科の高校へ進んだ。このまま普通に大学に進み、22で卒業とともに就職する、というありきたりの道を選び、60で定年するといったごく普通の人生で良いのか?一度しかない人生を自分をごまかしながら生きて良いんだろうか?

 卒業を2週間後に控えたある日の朝、何気なく新聞の社説を読んでいた時に、後々自分の進路を大きく左右する事となる記事に遭遇した。
「日本は自給自足では生きていけない国である。燃料、着る物、食べる物の大半は、外国からの輸入に依存している。日本は外国からしてみれば、ただのちっぽけな島国に過ぎない。このまま、広い地球の小さな島国で一度きりの人生を送るのではなく、地球を一つの国として、視野を広げてみてはどうだろうか?」という記事だった。
 わずか90円の新聞に載っていたこの記事が、自分が誰も知りえない大きな秘密を知ってしまったかのような興奮を与えてくれた。
「ああ、こういう手があったか!」
と突発的な判断で、すぐに留学することを思いついた。無論、両親には反対されたが、自分が如何に頑固か知っている故に諦めたようだ。しかし、問題はどこの国に行くかということだ。
そこで思いついたのが中国留学である。

 今の日本の基礎である漢字、書道、茶道、農業などの古代発展の基本は中国から来た。現在は日本の第一位の貿易大国になっている。日本と中国とは切っても切れない関係にある。
「中国に行けば日本という国の根源や発展の方向が見えてくるかもしれない。」
 それからは毎日のように書店へ通い、留学関係の書物を読みあさった。しかし正直言って、この頃の中国に対する知識は表面的で浅いものに過ぎなかった。

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